僕が彼女といる理由



『暇人がきた』

部屋のドアを開けて僕を確認すると
彼女はいたずらっぽく笑い僕を見た。



…でも

なんか…



僕は違和感を感じ
彼女をじっとみてしまった。



彼女は気まずそうに
さりげなく僕から視線を外した。




…あ。



わずかに視線を外した彼女の目が
少し赤かった。



僕は気づいたことを悟られないように



『悪かったなぁ…暇人で!
他の友達も忙しくてさぁ

おまえしか暇人いなかったみたい。』



なによー、と膨れっ面して
笑った彼女の笑顔に安堵があった。



僕は買ってきたものを
手早く冷蔵庫に入れた。


『おまえ何飲む?』


『ビール〜』


彼女は隣の部屋で
ガサガサ何かをしながら答えていた。


『あ〜皿…
なぁ!適当にこの辺の使うからな〜?』


『ん〜』


まるで男友達のような受け答えだ。


色気のカケラもない…

彼女が心配するようなことが
起こるはずもない。。。



でも、そうであってもダメなものは
ダメなのかもしれないけど…。


軽くため息をつき
彼女がいる部屋に入ると


『お〜、ご苦労!!』


…コイツ。。。

さっきの彼女とのケンカを思い
頭が痛くなった。



『今日は大学だけ?』


『オカンか…(笑)
バイトもなかったしね』


入れなかっただけだろ。


『ユートは七夕祭りは?』


『あぁ…彼女がバイト。』


頭に彼女のさっきの泣き顔が浮かんだ。


『フラレてやんの…』


『違うから…』



彼女は少し申し訳なさそうに笑った。



なんだかんだ鋭いとこがある百合。

僕のつたない嘘なんて
バレてるのかもしれない。



『…私ね』

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