僕が彼女といる理由


゛愛してる゛


…思ってはみたものの
実際、言葉にするのは…やっぱり…

ドラマじゃあるまいし…


彼女の柔らかく細い腕が
すこしだけ力を入れて僕を抱きしめる。


僕らの身体はびっくりするほど1つに
ぴったりと重なり合っていた。


身体の中から溶けだして何もかもが混ざりあって1つになるような感覚。



恥ずかしいとかどうでもいいんだ



誰かに見られて後でバカップルと言われたって
今ならいい気さえしていた。



今伝えたい。



僕は彼女の耳元で一言囁いた。



゛愛してる゛



その言葉に彼女は案の定、
リンゴのように真っ赤になっていた。



でも…



『優ちゃん、顔、真っ赤ぁ!』



不覚にも僕も真っ赤になっていた。

当たり前だ…こんなこっ恥ずかしいセリフ。


彼女にだけだろう。



『ほら!帰るぞ!!』


僕はぶっきらぼうにそう言うと
彼女の手をひいて僕の部屋に向かっていた。


早く抱きあってこの気持ちを全身で伝えたい衝動にかられていた。


帰りの道ですらもどかしかった。


部屋に入り早く彼女を抱きしめて
この気持ちを全てぶつけたかった。


僕は部屋に入るなり彼女を抱きしめて
数えきれないくらいのキスを交わした。


少し苦しそうに呼吸する彼女に
少し意地悪を言いたくなった。


『まだ不安?』


『…もぉ、いじわる』


彼女は赤くなってうつむくから
僕は彼女の顎に手をあて上を向かせてまたキスをした。



ブブブ



ポケットの中の携帯が鳴った。



『誰だ…?ちょっとゴメン』


僕はまだまだ足りない気持ちで
彼女を解放した。


彼女は赤く染まった頬にかかる髪を
柔らかな白い手で整えていた。


『もしもし?…あぁ、どした?』
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