僕が彼女といる理由
次の日、僕は一度家に帰り大学へ向かった。
大学に着いた早々、友達に呼び止められ
『おい、お前大丈夫か?!』
『………は?”大丈夫?”…って?』
何かあったっけ…?
僕は意味がわからず、そいつの顔を
ただじっとみていた。
『昨日の…
陽太も一緒だったんだろ?』
…?
昨日は僕たちは陽太に会っていないし…
『…昨日は陽太には会ってないけど?』
今度は彼の方が一瞬
意味がわからないような顔になった。
『お前…知らないの?』
『だからなんだよ…?』
僕は嫌な予感と変な汗で
めまいがおきそうになっていた。
『陽太、昨日の夜、
七夕祭の後片付けで
急にあの木に雷が落ちて…
周りにいた何人かも病院に運ばれてるって…』
『怪我か?!
どこの病院?!』
嫌な予感は遠からずあたっていて
そこからの僕の記憶は曖昧なほど
動揺していた。
僕は病院の場所を聞き出すと
彼女のもとへ急いで向かった。
僕は彼女の部屋の前で深呼吸をした。
電話でも良かったんじゃないか?
病院を伝えて病院で待ち合わせるんでも…
あいつは人の心配をよそに
『お〜!わりーなぁ』
って病室のベッドで言うはずだ。
だけど、僕はいつの間にか
彼女の部屋の前だった。
携帯を握りしめたまま。
ピンポーン
彼女の部屋のインターホンが
静かに響き渡る。
その手は気づかぬうちに震えていて
生きた心地がしていなかった。
僕は昔から最悪の事態を考えてしまう。
たいていの場合は
取り越し苦労で終わるけど…。
もし…
万が一…
さっきから頭に浮かぶのは
想像もしたくないことばかりだった…。
だから早く安心させてくれ…
僕はじっとドアが開くのを待った。
ガチャ
ゆっくりとドアが開き、
そこには彼女がいた。
『また来たの?!』
いつもの彼女だ。
僕はいつもと変わらぬ彼女を見て
勝手に全てが解決したような
ほっとした気分になった。