僕が彼女といる理由
『…アキ?』


僕は全てが終わってぐったりしてる彼女の肩に手を触れた。



暗がりで目は見えなかったけど
ビクッと肩が震えたのがわかった。


僕はこの瞬間、
取り返しのないことをしたと
自分の愚かさに打ちのめされたんだ。



『…優ちゃん』



彼女が無理に笑おうとしてるのが
わかってしまったんだ。




『…ごめん………アキ』




僕はこの行為に
けじめをつけなければいけないよな。





『ごめん、アキ』



僕はもう一度はっきりと言った。


僕はアキを大切にしたいのに
無理やり傷つけるようなことをしたんだ…。



アキは僕の言葉の意味がわからず
少し考えるように僕の目を見ていたけど

次の瞬間、顔を真っ青にして僕にすがりついてきた。



『…ッ!なに!?なんで…?

別れるってこと…!?』



目に涙をいっぱいためるアキを
意外と冷静に見れるもんだなぁ、と
くだらないことを考えていた。




『…いや、…ちょっと距離をおこう…』



アキは涙を流しながらこっちをみていた。



…俺がひどいことをしたからだよ。




『…いゃぁ…

もぉ、百合さんと話さないでなんて言わないからぁ…

…ック…別れたくないぃ…』



…僕が悪いんだよ?



『違うんだアキ…ごめん…

しばらく会わないでいよう…ゴメン』




『優ちゃんがいなくなったら…

…お願い…行かないでぇ…』



アキは大粒の涙を流しながら
僕にキスをした。


触れた手に、腕に、肩に…
涙の滴が跡を残した。


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