僕が彼女といる理由

二人の距離

僕はアキと距離をおくことにしたけれど､

それで何かが変わるのだろうか…？


いや…たぶん僕は
逃げたんだ。


彼女に対して責任をとるなら
どんな状況になっても側にいるべきなのかもしれない。


でもそのこと以上に､

変わらない僕の気持ちや態度が

側にいる彼女を傷つけることが
耐えられなかったんだ。





次の日学校でアキの姿を見ることはなかった。


学校に来ているかさえもわからず

意識しなければ意外と会えないものだと

今さら気づいた。



でも僕は昨日”距離をおこう”と言った手前､

心配して連絡することなんてできなかった。



僕は講義が終わると、あてどもなく
ふらふらと街を歩いた。



考えることはいっぱいあったけれど

今は何も考える気がおきなかった。





しばらく歩いていると､

見慣れないところに映画館があったのに気づき
何気なく公開映画のタイトルを目で追う。



タイトルの中にあった

”夜明け”

の言葉に目が止まった。



”夜の暗闇にいてもいつかは明るい朝になる”



何かに悩んでいてもいつかは朝が来るように､抜け出せない闇はない。


そうゆうイメージだった。



何かを解決してくれそうな
そんな期待が無意識に膨らんでいたのかもしれない。



僕はふらっと映画館に
吸い込まれるように入った。