僕が彼女といる理由

携帯のディスプレイの文字に
一瞬、携帯を落としそうになった。


”着信 百合”


昨日怒鳴ってしまったことを思い出し
少し気まずい気分だったけど、


ゆっくりと通話のボタンを押して


『…もしもし?』


『…遅い!!

早く電話でなさいよ〜』


いつも通りの百合の声に
少し安心していると


『今日のサークル出なかったの?

映画評論だったのに〜』


『…あ!忘れてた!』


…嘘だけど


『彼女も優斗いないから
元気なかったよ〜?』


電話越しにニヤリと意地悪そうに笑う百合が想像できた。


…アキ、大学にはきてたんだな。

本当に会おうと思わないと
会えないものなのかもなぁ。


でも少し安心した…


『映画は今みてきたよ…

すごく怖いヤツ。』


『怖いやつ?

珍しいねホラーなんて…!』



『お前今どこ?』



『今家に帰ってきたけど?』



『今から行くよ』



『…は?なに?

まぁいいけど…
酒とつまみヨロシク♪ね』



僕は電話を切り、
さっきよりちょっとだけ清々しい気持ちで歩いた。


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