僕が彼女といる理由
『まぁ、モノ取りにくるだけだから、
飲め飲め♪』
…よく言うよ…
少し緊張に似た感じが
百合の指先から伝わってきた。
本当はどうしてほしいかなんて
わかっていたけど
…ふ〜ん
となんでもないないようにしていた。
みてみないとわかんないしな…
僕は時がくるのを待った。
飲みながらひたすら待った。
あ〜…
百合のことはなんでこんなにわかっちゃうんだ…
アキのことは…
こんなに傷つけてるクセに…
一時間くらいが経った頃
部屋のチャイムが鳴った。
一瞬百合の缶を持つ手が停止して
百合はゆっくりとテーブルに缶を置くと
『来たかな…?』と言って
玄関の方に向かった。
『…いらっしゃい♪
今ちょうど友達と飲んでるとこだけど
一緒に飲んでく?』
『…はは、いーよお邪魔だろ?
忘れ物とったら帰るから、悪いね…』
そんな会話が近づいてきて
なんだか僕は緊張してきてた。
”幸森さん”がくる…
姿が見えて、一瞬、幸森さんの表情が
固まったような気がして
『こんばんわ』
僕は挨拶をした。
意外と落ち着いた声がでて安心した。
すぐに爽やかなスマイルで
幸森さんは挨拶を返してくれた。
『こんばんわ。
…優斗くんだったのか、友達って』
幸森さんは僕のコトを
知っているっぽかったけれど
僕はそれを気にしないふりでいた。