僕が彼女といる理由
トイレから戻り、さっきの席につく。


相変わらず木村くんはそこにいたけど
ユキはお目当ての先輩のトコに移動していた。



『…木村くんはお酒強いね。

顔色変わんないし』



木村くんは少し間をあけて
”そんなことないよ”と答えた。




目が合った瞬間に
優ちゃんと同じものを感じた気がして

目を剃らしてしまった。



優ちゃんと同じ種類の眼差しなのに

受けとり手の気持ちで
全然違うモノになってしまう。




木村くんと二人になると

時々、友達として隣にいるこの距離を
どう保っていいかわからなくなる時がある。






不安で気持ちがぐらつく…


助けてよ、


側にいちゃダメなんだ…


……いったい、いつまで?










独りぼっち



そんな気がした。



そしたら



涙が出そうになったから

必死にこらえたけれど

多分バレてたんだよね…





木村くんが私の荷物を持って

ユキに何か耳打ちすると

私をその場から引っ張り出した。






私の世界は
優ちゃん一人を失うだけで
こんなにも違うモノになってしまうんだ…。






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