僕が彼女といる理由

急に目の前が真っ暗になって
控えめな香水の香りと温もりに包まれた｡


一瞬の出来事で､ぼんやりした頭が
抱き締められてると気づくのに
だいぶかかってしまった｡




強く抱き締められた身体から
引き離そうと力を込めたけど


身体は離れなかった。



『好きだ』



そう口づけられて

拒めなかったのは自分だ。





百合さんと優ちゃんを
思い浮かべて…



同じように苦しめばいいと思ったんだ…。






口づけられる､唇､首を､胸を､
いちいち反応してしまう自分を…




最低だ…。





苦しさに溺れて
すがるようにイケナイ快楽に身を委ねる









”愛してる”




一番に言って欲しいのは
やっぱりあなたなんだよ。





息を切らせて横たわる彼に
私は『ごめん』と言った。






彼は悲しそうに笑って
愛でるような優しい瞳を揺らして



『いいんだ､…なかったことにして。』





私は夢中で彼の元に

彼の家に走っていた。







貴方じゃなきゃ

意味がない。