僕が彼女といる理由
…違う人だとまた嘘をつくか?
……いや、
彼女を騙しきれるほどのスキルは
持ち合わせてねーな…
『ごめん!
この日は大事な用があって…
どうしても外せないんだ』
僕はもう、素直に誤った。
『それって…
百合さんが絡んでるの?』
彼女はなんともないふりをしようと
明るく言ったんだろうけど
その笑顔はすぐに伏せられた。
『ああ…』
こうゆう時は嘘を重ねて
バレたときの方が怖い…
僕は隠さずに伝えようとした。
…が、
彼女に視線を戻したときに
ギクリと背筋に冷や汗をかいた。
彼女は堪えきれない涙を
ただ静かにその目から流していた。
彼女の涙をみて
僕は何も言えなくなった。
彼女は僕が百合を大事にするほど
傷ついているんだ。
でも僕には百合を…
同じ大切な人を亡くした友達を
放っておくことはできない。
僕は目の前で泣いてる彼女を
僕の胸に寄せ軽く抱き締めた。
後ろで冷やかす林の声が聴こえた。
僕は彼女を大切に
愛しく思っているのに
結局僕の表現は伝わらないんだ。
価値観…
どうにもできない壁なんだろうか。
僕は彼女をベンチに座らせ
今日はどうしても一緒に
いられないことを説得しようとした。
きっとこれは大切な人を
亡くした人にしかわからない。
どんなに理解を得ようとも
わからないのかもしれない。
僕と彼女は
これで行き止まりなのか…
僕の矛盾した気持ちは
これから先も
同じ事を繰り返すのだろうか…
誰にも理解されないのだろうか…
いや…
ふと浮かんだ気持ちを
僕は無理矢理考えないようにした。