guard
 ご主人様の声が俺を救ったんだ。



 ―――数ヵ月後。


 今日は俺がここを出る日。

 
 荷物の整理をして…。


 役目のなくなった俺はここを出なくちゃならない。


「忘れ物なしっと…」


 俺はカバンに入った写真を取りだした。


「里衣ちゃん…。ごめんな。守れなくて…」


 里衣ちゃんの写真。


 里衣ちゃんの笑顔を見ることもできない。


 また…涙があふれてきた。


 止めたくても止められなかった。


「っく…。里衣ちゃ…。うぐっ…」


 ―――大好きだよ。歩夢くん―――


 ふと…里衣ちゃんの声がしたように思えた。


 それはきっと気のせいではなくて天国でそう里衣ちゃんが言ってるように思えた。
< 30 / 31 >

この作品をシェア

pagetop