俺の好きな人
No2
ある移動教室のとき、彰吾と共に教室を出た。
くだらない話をしながら階段を下りた。
そこで階段を上がってくる東野優里が見えた。
あの綺麗な黒髪を揺らしてテンポよく階段を歩いている。
「でさーあいつがー」
しゃべることさえもできなくなるほど、見惚れていた。
彰吾はいつも一人でしゃべっているから平気だ。
東野が横を通り過ぎる。
ふわっ、と彼女の甘い匂いが鼻をくすぐる。
「東野・・・・・・」
誰にも聞こえない声で俺は呟いた。