俺の好きな人
2年生になってから早1ヶ月。
クラスのぎこちない雰囲気も序々に解け始め、安心できる場所となってきた。
「誠人、和弥んとこ行かねぇ?」
前のほうの席から歩いて来たのは、
中学からのダチの蒼井彰吾[あおいしょうご]だった。
くされ縁だかなんだか知らないけど、
彰吾とずっとクラスが同じ気がするのは俺だけだろうか。
「和弥?あいつ何組?」
「隣、1組」
彰吾のあとを追うように俺は教室から出た。
「つかオマエ、マジで表情ないと睨んでるようにしか見えねぇんだけど」
和弥が俺を見た瞬間にそう言った。
「笑えってか?」
自分でそう言ってみて、ニッと和弥に笑って見せた。