俺の好きな人
「いやーどうなのかな、って思って!」
チラリと俺のほうを見て、再び彰吾のほうを向いた。
一瞬、躊躇(ためら)って彰吾を見上げる。
「誠人が違うって言ってるでしょ?だったら違うよ」
最後にニッと笑って俺をみる。
「なんだよーつまんねー」
口を尖らせた彰吾をみて実紅は笑った。
たしかに少し残念な顔をしていた。
「っていうか、それだけ?」
「うん、それだけ!」
彰吾の言葉を聞いて、表情を緩めると「じゃあね」といって、
自分のクラス・・・・4組に帰っていった。
実紅がクルリと向きをかえたとき、あのときのにおいがした。
初めて東野を見たときの通り過ぎたときにした匂い。
甘い、香りがした。