俺の好きな人
「そこの自殺希望者」
聞き覚えのある声が聞こえた。
振り返らずに答える。
「なんだよ、実紅」
今は授業中のはずだ。
なのになぜいる?
授業はしっかり受けるマジメな模範生徒な実紅が珍しい。
「授業さぼったのかよ」
壁に寄りかかるようにして俺は実紅のほうを向いた。
会議室の入り口の前で頬を膨らましながら立っていた。
「担任が校内スタンプラリーを執り行う!とかいきなり言い出したの」
だからその真っ最中、と言うとそのまま近づいてきた。
「真剣に自殺するつもりだった?」
足元に落ちていたプリントと拾うと机に優しく置いた。