満員電車の君
「あ、あの…いえ、その…なんていうか……」



まったく、返事にならなかった。そんな私に、



「あれっ?さっき、電車の中でお会いしましたよね。どうしたんですか?」



――と、少し驚いたような顔をしながらも、あの人は優しく微笑んでくれた。 


「あっ、はい…。さっきは、ありがとうございました。」



「こちらに、何か、用事でも?」



改めて、聞かれたが、答えようがない。黙っていると…… 




< 16 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop