黒の歌姫
ソニアは、二言目には「愛してる」を連発する。この大陸の先住民族であるベルー族は、愛情表現に関しては実に大らかで、ソニアの言葉にも深い意味はないのは分かっていた。だが、ランダーはソニアの口癖にいつも落ちつかない気持ちにさせられる。
「今度俺にその言葉を言ってみろ、さるぐつわをかませるぞ」
「キスの方がいいと思わない?」
「いいから、黙っていろ!」
頭ごなしに怒鳴りつけると、ソニアはむくれたように口をとがらせた。
――まったく、扱いづらい娘だな
ランダーは心の中で毒づいた。
もともと女性が苦手な質だった。彼が知る限り、女性というのは腹が立つほど自分勝手か、うんざりするほどお節介かのどちらかだった。ソニアはその両方の気質を兼ね備えていた。おまけに、猫の目のようにくるくる変わる気分の持ち主で、まともにつき合うのには骨が折れた。
ランダーは、横目でソニアの方を盗み見た。
キュッと唇をきつく結んだ横顔が愛らしかった。
「今度俺にその言葉を言ってみろ、さるぐつわをかませるぞ」
「キスの方がいいと思わない?」
「いいから、黙っていろ!」
頭ごなしに怒鳴りつけると、ソニアはむくれたように口をとがらせた。
――まったく、扱いづらい娘だな
ランダーは心の中で毒づいた。
もともと女性が苦手な質だった。彼が知る限り、女性というのは腹が立つほど自分勝手か、うんざりするほどお節介かのどちらかだった。ソニアはその両方の気質を兼ね備えていた。おまけに、猫の目のようにくるくる変わる気分の持ち主で、まともにつき合うのには骨が折れた。
ランダーは、横目でソニアの方を盗み見た。
キュッと唇をきつく結んだ横顔が愛らしかった。