太陽の輝く世界
ここに来て五年目になる。

前のように、廊下の騒音で

不機嫌に目を覚ますこともない。

「相馬優芽(そうま ゆめ)

ちゃんね。今日からしばらく

優芽ちゃんを担当することになった

研修生の、垣花胡桃(かきのはな 

くるみ)です。よろしくね」

わたしは一応お辞儀だけをして、

窓の外を眺めた。そんなわたしに、

「今日も良い天気ね。桜も満開だし。

最近散歩とかしたりは?」

ベッドに腰掛けながら話し

掛けてくる先生。

「…行ってません」

「ここにいたってつまらないでしょ?

たまには気分転換でもしなきゃ。

いくら窓から桜が見えるからって、

こんな殺風景な部屋にずっといたら

どうにかなっちゃう」



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