当たらない天気予報
制服のスカートよりも短いスカートから真っ直ぐ伸びる脚に、やけにドキッとする。
男なんて、単純だな。



「翔子、生日おめでとう」

「ありがとう」


昨夜、日付が変わった瞬間にメールで交わした言葉。
改めて口に出すと、なんだかくすぐったい。





俺と翔子は、その足でティファニーに向かった。
一刻も早く、翔子にプレゼントをしたかったから。
空腹ではあったけど、昼食なんて二の次。
あの時は戸惑いながら店に足を踏み入れた俺も、今日は何食わぬ顔でティファニーにお邪魔する。
恵美がそうしていたように。
翔子はと言うと、やはり少し戸惑っている様子で俺の後ろを歩く。


「孝文、こういうところ来たことある?」


小声で翔子が耳打ちをする。


「勿論無いよ。でも、あんまりおどおどしてたら挙動不審だし、冷やかしだと思われちゃうじゃん」


しれっと嘘をつくが、こんなのは慣れっこ。
塾だ、友達との約束だと言いながら、散々恵美と会っていた。
罪悪感は無い。
だって、恵美には想いがこれっぽっちも無いし、俺が好きなのは翔子だけ。
お目当ては決まっているが、俺はわざとはじのケースから見はじめた。
見たこともない数字ばかりがつけられているジュエリー達を、流し見する俺と丸い目で凝縮する翔子。
< 13 / 42 >

この作品をシェア

pagetop