当たらない天気予報
日曜日だということもあってか、先日恵美と来た時よりも随分と客が多い。
若すぎる俺達は浮いてしまうのではないかという心配も払拭されてしまうくらい、老若男女が集っている。
店員と客の数が釣り合ってないんじゃないか？なんて余計なお世話をやいてみたり。
恵美と見たネックレスのケースまで来ると、俺は数秒の間を取って、


「これ、可愛いんじゃない？」


俺はネックレスを指差し、さらっと翔子に促した。
昨日の夜、シミュレートした通りだ。
俺の予想では、翔子はここで「可愛い！」と絶対喜んでくれるはずだった。
翔子の趣味は熟知していると自負している。間違いない。
だけど、丸くしていた翔子の目が更に丸くなって。


「私、こんなに高いの受け取れないよ！」


高く、翔子が声を上げた。
その声に、怯む俺。
普段大人しい翔子がこんな表情をすることなんて、滅多に無い。
びっくりしたあまり上げた翔子の声は、幸いにも店員には聞こえてなかったようだ。
相変わらず、販売全員が他の客で手一杯の様子。


「でも、だって、翔子に似合うよ？」


俺は情けなくも些か動揺しながら（翔子の声に対して、そしてそれ以上に、俺の予想を覆し翔子が俺の選択を否定したことに対して）、俺はもう一度ネックレスを指す。


「こんな高くてきらきらしたの、高校生は似合わないよ」

「遠慮してんの？俺、金ならちゃんと貯めてきたから。別に心配しなくても…」


俺がそう言っても、「そうじゃない、そういう問題じゃない」と首を横に振り、頑として譲らない。
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