当たらない天気予報
思えば、雅樹さんがあたしに声をかけてくる前から、あたしが気付かないだけで何度も雅樹さんと会ってたのかもね。
雅樹さんはいつも、友達何人かといた。
ついぞ最近転校してきたとは思えないくらい、友達がいるみたい。
2年と3年の靴箱はちょっと離れてるけど、雅樹さんはあたしを見つけると、「気ぃ付けて帰りやー」ってぱたぱたと大きく手を振ってくれた。
最初は恥ずかしかったそれも、何回か見てるうちに微笑ましく思えてくるもので。
ただ、あたしが雅樹さんに手を降って応えると、周りの友達に「な、かわえー子やろ!」って言うのが聞こえるのだけは慣れない。






雅樹さんとはそんな関係で、別段、進展もなく。
だけど、雅樹さんは晴天の霹靂なんだ。
事態が一変するようなことが起きた。


…って言っても、事件が起きたとかじゃない。
メールを始めて1ヶ月経つか経たないかという頃のある日の放課後、雅樹さんがあたしの靴箱の前に立ってたんだよね。
どうしたのかなって思ったけど、あたしは取り敢えず、いつもみたいに雅樹さんに「こんにちは」と言った。
< 38 / 42 >

この作品をシェア

pagetop