君のいない教室
20分後。

お風呂から上がったらしい姉が、また2階に上がってきた。

もう…放っておいてほしかったのだけど…。


「海…何回もごめん。お風呂、上がったから、入っちゃいなよ?」


姉は少し遠慮がちに言って、また下に降りて行った。


…お風呂に入ろう。

僕は、立ち上がった。

ずっと泣いていたって仕方がない。

だって先輩は、卒業してしまったのだから、会えなくて当然だ。

…我慢しなきゃ。



そうして僕は、また”我慢”という言葉を心に刻んだ。

そうすれば、我慢しなきゃいけないんだって思えるから…。


ピーンポーン


誰か来たのかな…?

でも、姉は全然気づいていなかった。

僕が出るしかないか…。



そう思って、扉を開けたら…



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