君のいない教室
プァーッ

タカタカタカッ


放課後、部活へ行ってみると、もう練習をしているようで、たくさんの楽器の音が鳴り響いていた。

音楽室に入ると…


「大蔵やっほーっ!」


スティックを手にしながら、手をブンブン振る久保田。


「あっ!」


その瞬間、手からスティックが離れ、宙を舞い床に落ちた。

僕はすかさず、スティックを拾い上げた。


「そんなに手をブンブン振り回してたら、落ちるに決まってんだろ?」

「ごめーん!」


「へへ。」と言いながらも、少し哀しそうな表情をしていた。

本当に、久保田は楽器が好きなんだという事が、この表情からわかる。


「…そんなに大事なら、もう振り回すなよ。」


何で気づいたの?

そんな顔をしながら僕を見つめていた。


「お2人さーん。ラブラブは部活が終わってからにして下さぁい」


こんな事をしていたから、山田にからかわれてしまった。



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