君のいない教室
「もぉっ!!大蔵とラブラブなんて、あり得ないからっ!」


拗ねたような、少し照れたような言い方だった。

その言い方に、本当は僕の事好きなんじゃないか、なんて期待してしまった。

その証拠に、久保田の頬は赤くなっていた。

自惚れてしまった。


その後すぐ、久保田に背中を思い切り叩かれた。

パシン…ッと音楽室に響き渡った。


「いてぇ…何すんだよ!」

「もうっ!パシッたお返しだよ!バァーカッ!」


頬を真っ赤にして、一生懸命僕を殴る久保田。

そんな久保田を見て、何故かみら先輩の顔が浮かんできた。

何でこんな時に思い出しちゃうんだろう。

久保田とみら先輩は、全然違うのに…。


「…大蔵?」


僕の表情が一変したのに気付いたのか、久保田は驚いたように、僕の顔を覗いていた。


「ん?」


何故か、頬が赤く染まった。



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