君のいない教室
「ほらほら、練習するよ!全く…1年生が見てる!」


久保田の視線の先には、つい最近入部したばかりの、新1年生がいた。


「あ、そっか。もう楽器決まったんだっけ。」


とぼけたように言うと、久保田に睨まれてしまった。


「先輩なんだから、それ位知っとけ、馬鹿蔵!」

「馬鹿蔵って何だよ!ボケ田め!!」


仕返しの変わりに、”ボケ”田と呼んでやった。


「愛由ちゃんの方がボケてるからっ!」

「えぇ!?何でここで私が出てくるの!?」

「皆ー…練習しようよ。1年生に笑われてる。」


少し小さめな声で、内野が僕らを注意する。

僕らはすぐさま内野に


「お前に言われたかない!」


と言った。

3人で声が揃ったので、笑ってしまった。



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