君のいない教室
「結局、喧嘩したまま、別れちゃったとか言わないでよ?」


僕の顔を覗き込むような状況で、幸が聞いて来た。


「何言ってんの?もうとっくに別れたけど…。」

「え!?そうだっけ?」

「うん。それに僕、もうみら先輩がいなくても大丈夫だし。」

「本当に…?」

「うん。じゃ、焼き肉が僕を待ってるから。」


白いタオルで手を拭いて、廊下を走った。

幸が何かを言ったような気がしたけど、気にせず走り続けた。


「うおっ!美味そーっ」

「さ、食べるわよ。幸は?幸ー!ごはんよー?」

「…いらない。」


さっきまで普通に元気だった幸は、哀しいような、辛いような声を出して、そう言った。


「…どうしたのかしら。」

「大丈夫だよ。幸の事だから、お菓子でも食い過ぎたんだろ。」

「そうだといいけど…。」


僕は、幸の事は気にせず、箸を手にとり焼き肉を食べ始めた。



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