君のいない教室
いつもより、早めに来すぎたのか、音楽室には誰もいなかった。

だから、1人で練習することにした。


ガラッ


「あれっ、大蔵じゃんっ!珍しく早いね、どうしたの?」


ストラップをじゃらじゃらつけたスクールバッグを持って、扉を勢いよく開けた久保田は、驚いたように、口に手を当てていた。


「…ちょっと、早めに起きちゃってさー!たまには早めに来ようかなと…。」

「でも、最近の大蔵は、部活頑張ってるもんね!偉いよー!」


ドキンッ…。


僕より少し背の低い久保田は、背伸びをしながら、僕の頭を撫でる。


「犬じゃないんだけど。」

「えへへっいいじゃんっ!たまにはさっ!」


ドクン…ドクン…


何だろ…この感覚…。

みら先輩と別れて以来、初めてのドキドキかもしれない。


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