君のいない教室
――本当は、背低くなんてない。

未夢は中間くらい。

自分でも、何でわざわざみら先輩の逆を言ったのか、わからない。


「じゃあ、私そろそろ帰るね!」

「はい。今日はありがとうございました!さようなら。」

「うん。またね!」


ちか先輩と別れた後、久保田が楽器室の前に立っていた。


「みら先輩、彼氏出来たんだってね。」

「そうらしいな。」

「大蔵…まだみら先輩の事好きなんじゃ…」

「そんなんじゃねーし。みら先輩は、ただの”東中の卒業生”なんだから。」


そう言うと、久保田は俺の方をぐっと掴んだ。


「ちか先輩も言ってたけど、それでいいの!?大蔵、まだ好きなんじゃないの?」

「だから、違うって言ってんだろ!」


もう、放っておいてくれ。

みら先輩の事を、さっさと忘れたいのに。



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