片思い物語
prologue
2003年3月
私の友達が突然死んだ―――


卒業式を3日後に控えていた高校3年の春、浅瀬晴香が自分の家で手首を切って倒れていたのを晴香の母親が見つけ、病院に着いた頃にはもう、息を引き取っていたらしい。
机の上にはアルバムと、机の引き出しの鍵が置いてあった。

私はその時、コンビニでアイスを買っていた。

コンビニの時計を見ると、もう6時を回っている。
いくら暖かくてだんだん日も延びてきててもやっぱ帰んなきゃママ煩いだろうなぁ…。

~~♪

携帯のマナーモードがポケットの中で忙しなく動いていて、私はくすぐったくて眉間に皺を寄せた。
携帯を開くと『晴香』との表示。
彼女は私が高校に入った時に出来た、所謂親友のような存在で、趣味や好き嫌いは少し違っていてもお互いを理解しあい、楽しい学校生活を送っていた。
「はて、どうしたんだろう…?電話なんて珍しいー。
はぁーい、もしもしぃ?」
私がいつものように悠長な声で電話に出ると電話の向こうには晴香ではない人。
私は驚いて携帯を落としそうになったが、涙声に聞こえるが何かを伝えようと必死で喋っている様子だったので、必死に携帯に耳を押しあてた。
よく聞くと聞き覚えのある声で、それが晴香の母親だと気付いた。
「晴香の、お母さん?」
なんで晴香の母親から電話が・・・?
そう思った瞬間私の耳に晴香のお母さんの口からある一言が聞こえた。

『―――晴香が、さっき、死にました・・・―――』




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