期間限定、恋人ごっこ
井口は、いつもの、考えが読めない表情に戻って、「そうか」とつぶやいた。
「じゃ、明日の……午後1時。正門前で」
「え……?」
「部活が終わったら、遊びに行こう」
明日は土曜日。休みの日。そして……。
「了解?」
「うん! わかった! 1時に正門ね!」
急に元気になった私に、井口はほっとしたように口元を緩めた。
井口のほっとした顔に、私もうれしくなって、教室に戻る井口を笑顔で見送った。
少し寝てから、私も教室に帰ろう。
井口は、家に帰ってもいいんじゃないかって言ってたけど、やっぱりもったいない。
明日、土曜日。
そして、井口の誕生日。
井口。お誕生日の午後を、私にくれて、ありがとう。
誕生日プレゼント……どうしようかな。