恋わずらい


晴れるのを待つのにも飽きて、
とうとう親を呼び出そうと
鞄から携帯を取りだした。


『濡れて帰りたくないもんな…』


そう一人で呟いて
通話ボタンを押そうとしたとき、
後ろから声が聞こえた。


『樹里!』


振り返ると、息を荒げた
葵先輩が立っていて。


『あ、こんにちは葵先輩』

『傘無いの?貸してあげようか』



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