元素記号
審判が頭の上で
腕を回している。

ホームランの合図だ。
頭が真っ白。




こんな事ってあるもんなんだ…。





膝がガクッと折れ
マウンドに崩れる。
その瞬間
無音だった私の世界に
歓声が聞こえた。





「集合!」






「ゲーム!」
「ありがとうございました」






試合は
サヨナラ負け。
終わってしまった。




すると
誰かの手が
背中に触れる。
「綾乃ぉ〜。ごめんね。」
振り返ると
涙で一杯になった咲がいた。




自分は馬鹿だ…。




「咲…。ごめんね…。」




堪えていたはずの涙が
流れてくる。




自分は最低だ。

だから罰が当たったんだ。



二人で声をあげて泣いた。
< 20 / 44 >

この作品をシェア

pagetop