元素記号
「では、面接を行います。」あの先生が言う。
「受験番号1050番。小澤綾乃さん。」
うわっ!!
よりによって
1番最初かよ!?
「はいっ!!」
ソフトで鍛えた声。
教室中に響き渡る。
緊張で脚が
ガクガクいっている。



―コンコンッ―


「失礼します。」
ここまでは記憶がある。
ぎりぎり。
その後は真っ白で
今、自分は何をしゃべっているのか…。

あっという間に
面接は終わった。

落ちたな…。


お母さんの迎えの車が来る。
「どうだった?」
お母さんが言った。
「多分…、落ちたんじゃん?」
お母さんは
何も言わなかった。
< 3 / 44 >

この作品をシェア

pagetop