元素記号
先生は更に
遠い存在になってしまった。
あの夜
抱きしめられたのは
何だったのだろうか。
ただの
同情や慰めなら
あんな
思わせぶりな事は
やめてほしかった。


先生が
わからない。
ただ
本当にショックで
淋しくて
悲しくて
家に帰っては
ただただ泣いた。
枕に顔を
押し付けて
声をあげて泣いた。


初めて
こんなに人を
好きになった。
立場とか年齢とか
そんな事関係ない。
本当に
大好きで
しかたがなかった。


始めから距離があって
でもそれは
縮まる事はなくて
無理に
縮めようとすると
どんどん離れていく。
そして最期は
切り離されてしまった。


「せん…せぇ…やだよぅ…。」


ポロリと
涙と共に零れた。
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