元素記号
噂はたちまち
クラス中に広がった。


冬はソフト部が
シーズンオフのため
部活は早く終わる。
だから私は
佑太が終わるのを
ずぅっと待っていた。
正直
かなり寒い。
だけど私は
なかなか健気な
彼女をしていると思う。
だいたい1時間ぐらい。
多い時には
2時間ぐらいは待たされた。


クリスマスも
間近に迫った終業式の日。
いつも通り
一緒に帰ろうとした時
星先生が校門に居た。
しばらく見なかった
タバコを
吸っている姿。

目を逸らしたい。
でも
久しぶりに見る
その姿。
かっこいいんだ。
見とれてしまうんだ。

気付かれてしまった。
先生と目が合ってしまった。
彼氏といるところを
見られてしまった。

「さようなら」

佑太が先生に言った。

「はい。さようなら。」

先生は言った。

私は軽く会釈をしただけ。
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