【短編】年上の幼なじみとの関係
「てか、渉さん!
湯野にちゃんと言ってください。
渉さん、俺んちにきて、兄貴と俺の前でノロケんじゃなくて。」


奥田くん、なんか言う気?


てか、ノロケ?



やっぱ、いるんだ。


彼女。


「渉くん。
離して。」


私は、冷静に渉くんから離れた。


奥田くんは、知ってるんだ。


渉くんに彼女いるって。


「千世?」


私の態度がおかしいのがわかるのか、渉くんは不安げに私の顔を覗いた。


「奥田くん、ごめんね。
てか、ありがとう。
私、帰る。」



私は、渉くんを無視して、奥田くんにそう言って、走った。


だって、現実を突きつけられた今、無理だもん。


急に私が走ったせいか、渉くんは追いかけてこないし。


いいんだ。


それでいいの。


私と渉くんは、やっぱり体だけの関係だったんだ。


それを突きつけられた気がした。


そして、あっさりと進路が決まった。


この住み慣れた街を離れる。


それに、渉くんと奥田くんの関係がわかった。


奥田くんのお兄さんと渉くんが友達なんだ。


こういうのは、すぐわかるのに。


もう、イヤだ。


もう、奥田くんに話せない。


なんだかんだで、相談相手にピッタリだったみたいで。


結構、勇気づけられた。


だから、頑張れる。
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