いつか、伝えて
「お前はさー。」


そう言って、キョウヘイが


隣にしゃがみこむ。


「何?」


線香花火が音を立てて


パチパチと勢いよく燃えている。



少しの沈黙と、



そして、笑顔。



「何よ。」



もう一度聞く。



「好きな奴とかいねえの?」



「・・・・・。


 どうかな。」




「なんだそれ、絶対居るよな。

 もしかして、俺?!」



「キョウヘイじゃないよ・・。」



好きな人を目の前にして


“好きな人がいる”


なんて素直に言えなかった。


「そっか。」









線香花火が、







ポツリと、




落ちた。
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