いつか、伝えて

「いい子にするのよ、レン。」




そう言って彼女は


レンの分の飛行機の


チケットを


目の前で破り捨てた。




「じゃあね、またね。


 キョウヘイ君、頼むよ。」




母親は自分の荷物を持ち、


バスへと乗り込んだ。



一部始終を見ていた


数人のお客さんが


笑顔で手を叩いていた。




「出発しまーす。」




運転手さんの掛け声と


ともに、エンジンがかかり、


またバスはのろのろと


走り出す。



「おかあさーん!


 今まで本当にありがとう。




 大好きだよ!」



レンは泣きながら叫んだ。
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