。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


ミーティングを終えると、スタッフの紹介途中だったのに、俺は朔羅の手を強引に掴んでスタッフルームに引っ張り込んだ。


「ちょっ!何だよっ!!」


と、顔をしかめる朔羅を無理やりロッカールームに押し込めると、俺は出入り口の鍵を閉めた。


「それはこっちの台詞だっ!なんでおめぇがここに居るんだよ!?」


朔羅はびっくりしたように目を丸めて、それでも俺を上目遣いに見上げてきた。


その悲しそうな、寂しそうな上目遣いに心臓がドキリと音を立てた。




「だってさ……夏休みだってのに、お前はバイトばっかりだし、寂しかったんだもん…

それにお客は若い女の子ばっかだったし、心配だった…」





ギューン!!!


俺の心臓が変な音を立てて捻じ曲がった―――ように感じた。


ヤベェ…


こいつと居るとマジで窒息死するかも。


俺は息を荒くすると心臓を押さえて、ロッカーに手をついた。


「どしたの?戒」


朔羅が心配そうに眉を寄せて、俺の腕の中に潜り込んできた。


だ、ダメだ


俺は理性を抑えることを、もはや不可能と判断し両手をロッカーについて俺の腕の中に朔羅を閉じ込めた。


小っちぇ朔羅は俺の体にすっぽりと隠れる。


「か…戒…?」とちょっと不安げに朔羅が俺を見て、苦笑いを浮かべた。


危険を察知したのだろうか、朔羅が俺の腕から逃げ出そうとしたのを、俺は脚で阻んだ。



ふいに朔羅のつけている香水……チェリーブロッサムがほのかに香ってきて、俺の理性はあっけなく―――……




あばよ。理性の野郎。




ようは飛び立っていったわけだ。





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