。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
キスしたくて顔を近づけると、
「こんな場所でサカッてんじゃねぇ!」と鉄拳が飛んできたが、俺は寸でのところでそれを避けた。
呆れたようにちょっと半目でこいつを見下ろすと、俺は開き直って首を傾けた。
「しょうがないだろ?こんなに可愛い女が目の前に居るってのに、そんでもって可愛いこと言ってくれたってのに、何もしない方がどうかしてるぜ」
「か、可愛いこと…って何?あたし何か言ったか??」
朔羅は本気で何か理解していない様子で、きょとんとまばたきをした。
自覚ナシ。
まぁこいつに甘い雰囲気を求めた俺がバカだったってことだな。
「おいっ!龍崎っ!!どうしたんだよ!?鍵なんて掛けて!!」
「龍崎くぅん!私が女の子を入れたから怒ったの!?」
おネエ店長の声もして、そんなわけねぇだろと心の中で突っ込む。
突然ドアをドンドン叩く音がして、俺たち二人は顔を見合わせた。
「龍崎っ」
この場合の“龍崎”ってのは俺のことだな。
チっ!邪魔しやがって!!
「はい。今開けます」俺は声を変えて大声で答えた。
それから朔羅に顔を向ける。
「いいか、朔羅。男はみんな狼なんだからなっ!変に気を許すなよ」
俺は真剣な顔で朔羅を覗き込むと、朔羅はちょっと頬を膨らませる。
「お前が言うなよ。説得力ありすぎだ」
「いいか?ぜってぇに気を許すなよ!」
もう一度忠告して、俺はドアに向かった。