。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
気を許すな、と言ったけれど……
「龍崎さんて、あっちの龍崎とは知り合いなの?」と一人の男が俺を指差し、
「実は従姉弟なんです」なんて朔羅がにこっと答える。
「へぇ。仲いいね。従姉弟を追いかけてきたの?」
「まぁそんな感じです。最初から一人だと心細いし」ちょっとはにかみながら答える朔羅。
「高校生だよね?何年??」
「二年生です」
「俺は大学一年生♪仲良くしよーね」
「あ、はい。こちらこそ宜しくお願いします」律儀に頭を下げる朔羅。
イラ…
イライラ
気を許してはいなさそうだけど…何て言うの?真面目に答え過ぎだ!
まぁ朔羅にとっては、はじめてのバイトで先輩たちに気を遣ってるのは分かるが。
だけど、
気付けバカ!あいつらはお前を狙ってんだよ!!
さっきからとっかえひっかえ、野郎どもが朔羅に群がっている。
俺の朔羅に近づくんじゃねぇ!!この野獣どもがっ!
俺は持っていたトレーに思わず力を入れた。
バキッ!と鈍い音がして手元を見やると、四角いトレーが見事に割れていた。
しまった…やっちまった……
「あのぉ。すみません」
女の声がして俺は慌てて取り繕ったように笑顔を浮かべた。
「はい♪」
「お会計お願いします」
そう言って伝票を持ってきたのは、若い……俺よりも少し年上な感じの女だった。