。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
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「“いちゆう”ですか……。さぁ記憶にはありませんが。珍しい名前ですからね。それこそ一回聞いたら忘れないと思いますが」
響輔も首を捻っている。
龍崎家で遅い夕食をとったあと、俺は響輔の部屋に駆け込んだってわけだ。
「でも俺の転籍前の名字を知ってた」
「言葉のイントネーションは?関西の方じゃなかった?」
「きれいな標準語だったぜ?」
「こっちの方に女の知り合いなんていないし…ましてや、本名を知ってるとなると…」
「お前が酔った勢いでヤった女じゃねぇの?」
俺が半分冗談で聞くと、響輔は冷めた視線で「そのままそっくりお返ししますよ」と言い返してきた。
「俺たち以外に戒さんの正体を知ってる人物と言えば……」
「龍崎 琢磨か……まさか!あいつの隠し子じゃ!!」
「そんなわけ……」と言いかけて響輔はう~んと首を捻った。否定できないらしい。
「朔羅さんも知らない様子でしたか?」
「あぁ。俺がなびかないか、変な心配はしてたけど」
「例え龍崎会長の隠し子であっても、年齢が合わないですよ。俺とそう変わらないぐらいでしょう?」
響輔は遠い目をして腕を組んだ。
そーなんだよなぁ…
でもあの笑顔……どこかで見た気がするんだけど…