。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
その後もリコの恋バナを聞いて、それでも30分早く休憩を切り上げた。
スタッフルームに駆け込むと、つい10分ほど前に休憩に入ったばかりの戒が、のんびりとタバコをくゆらせている最中だった。
他には誰も居ない。つまりはあたしら二人きりってわけ。
「おめぇ。未成年が堂々とこんなところでタバコ吸うなよな」
呆れながらもあたしは戒の隣のパイプ椅子に腰掛けた。
戒は気のない素振りで雑誌をめくっていた手を休めて、
「いいだろ?誰も居ねぇし」と言って笑いかけてくる。
さりげなく雑誌に目をやると、ほとんど裸のきわどいかっこをしたおねえさんがバンっ!と映っていた。
「お、おめぇ!こんなところで堂々とエロ本見るンじゃねぇ!」
「あー?だって置いてあったんだもん。それにこんなん見ても元気にならねぇよ」
つまらなさそうに目を細める戒。
げ、元気って!!!
って言うかあたしが入ってきた時点で隠せよ!
ってか誰だよ!こんなところにエロ本放置してくヤツぁ!!
戒は見た目爽やかなのに、中身は野獣!!ほんっと二重人格だな。
あたし、彼氏をこいつに選んでホントに良かったの??
―――
――
「へぇ、川上が響輔をねぇ」
あたしの話を聞いて、戒は何やら楽しそうににやりと笑うと、顎に手を置いた。
リコは響輔に懐いてたけど、それはちょっとアイドルを追っかけるような感じに見えたから、
マジで恋愛モードだったことに驚いた。
「川上も色々大変だな」
「そーだよなぁ。好きになった男がヤクザだなんて、しかも立て続けに二人も!」
まぁ二人ともヤクザだけど、それ以上にイケメンだから惚れるなって方が無理か…
そう考え込んで腕を組むと、戒は意味深にちょっと笑った。
「そーゆう意味じゃねぇよ。ま、ヤクザってとことは当たってるけど、お前根本的なとこ何か間違ってるぜ?」
含みのある笑みを浮かべながら、戒はまたもニヤリと笑う。
「な、何だよ」
何が間違ってるって言うんだよ……