。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
そんなわけで、戒はキョウスケと風呂に入っていった。
あたしも、普段は使われてない二階の風呂場を使うことにした。
服を脱いで、鏡の前で自分を映し出す。
左胸の……心臓の上ぐらいにトライバル模様で崩してはあるけど、しっかりと昇り龍の形をした小さな黒いタトゥーが入っている。
長さにして、5cmぐらいかな?
普通に見ればただのファッションタトゥーだけど、あたしのは違う。
これは黄龍の―――この世でたった二人だけが持つことのできる、紋だ。
あたしはこの片割れを背負った人を知っている。
つがいの龍のお相手は―――
大好きだった叔父貴の背中に―――こちらはかなり華やかな和彫りの昇り龍が、あの人の広い背中を彩っている。
叔父貴……
5万人ほどに昇る日本の極道界を牛耳り、その頂点を極める人。
その威厳は誰も逆らうことのできない、威圧的でいつも堂々と、だけど颯爽としている。
恐れられる一方、誰からも厚い信頼を得て慕われているいる彼のことを―――
あたしはずっと好きだった。