。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。




瞬殺―――


ご愁傷様でした…


チーンってな感じで、あたしは地面に伸びた二人の男たちを見て、手を合わせた。


威勢がいいのはどこへやら、叔父貴に向かってきたチンピラたちは、叔父貴の拳によってものの1分も掛からないうちに、やられた。


「誰に喧嘩売ってンだよ」


叔父貴は伸びたチンピラの一人のわき腹を蹴り上げて、更に大股でそいつらを跨いだ。


あたしもそいつらを飛び越して、気の毒そうにチンピラたちを見る。


しかし…叔父貴の喧嘩してるとこ久しぶりに見たな。




戒のような思わず見惚れてしまう派手さはない。キョウスケのように静かだけど、底知れない恐怖を思わせるものじゃない。




叔父貴の喧嘩は―――





天を駆け昇る龍のように猛々しく力強く、そして美しさを纏い、どこまでも優雅だ。



「おじ…」もう一度声を掛けると、


「おいっ!テッタ、ユウヤ!!どうしたんだ!!」とまたも誰かの声が聞こえて、あたしたちは声の方を振り返った。


って言うかあたしが話しかけようとしてるところに、いちいち登場すな!!


登場したもう一人のチンピラ…(って言うかこいつはもう1ランク上で、兄貴分みたいだ)は倒れこんだ二人に、必死に呼びかけゆさゆさと体を揺すっている。


「てめぇらか!こいつらをこんな目に遭わせたヤツぁ!?」


チンピラが凄んで、叔父貴とあたしは同じタイミングで振り返った。


「ぁあ゛?」とこちらも不機嫌モード全開…の叔父貴がドスを利かせて睨むと、


チンピラはびっくりしたように目を開いて、





「か、会長!!龍崎会長ですかぃ!?」






と口をあんぐりと開いた。






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