。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。


最後に登場したチンピラは、のされた二人を無理やり起こすと、横一列に並べて任侠座りをさせた。


叔父貴の存在を知っている者なら、誰でも叔父貴には敬服する。


叔父貴が通る道に誰も立ちはだかる者はいない。


絶対的威力を持つその迫力は伊達じゃない。


叔父貴は腕を組んで、チンピラたちをじっと見下ろしていた。


チンピラはその迫力に身を縮こませている。


叔父貴は怒ってはいなさそう…だけど、機嫌はよろしくなさそうだ。


あたしだってちょっと怖いもん。


「か、会長ごくろうさまでやす!このたびはうちのモンが会長と知らずに、粗相をしでかしたもようで」


聞けばこいつらは、すぐ近くに事務所を構える“浅田組”一家だった。


へこへこ謝ってるのが、そこの組長の跡取りらしい。


跡取りって言うから、戒やキョウスケみたいに若いのかと思いきや…(ってゆうかあいつらも跡取りだけど、あいつらが異常なのか)


こいつはどう見ても30を過ぎたおっさんだった。パンチパーマに白いスーツ。金のネックレスがいかにも、という感じだしおまけにセンスがわりぃ。


「か、会長…?」


一人の、のされたチンピラが恐々跡取りのおっさんを見上げている。


「バカやるぉう!このお方は四代目青龍会会長様であらせられるぞ!!」


頭(ズ)が高い!と言わんばかりに両隣のチンピラたちの頭を掴んで、地面に沈める。


なんか…めんどくせぇな。


あたしは叔父貴のカットソーの裾をちょっと引っ張ると、


「叔父貴…もう行こうよ。日が暮れる」


と言い、叔父貴を見上げた。


「“叔父貴”…ってことは、このお嬢さんは会長の姪御さん…ですか?」


おっさんはあたしを恐る恐る見上げてきて、そして叔父貴をちらりと見る。


叔父貴はあたしの肩を抱き寄せると、ちょっと意味深に口の端に笑みを湛えた。






「いや。



こいつは俺の女だ」










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