。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
ギャンギャン喚いているうちに青龍会本部にはあっという間についた。
回り一帯をぐるりと高い塀で囲まれ、入り口には詰め所があり、そこに常時二人のチンピラが在住している。
キョウスケの言った通りだ。
小さな詰め所から顔を覗かせたチンピラの一人が、車の中の叔父貴の顔を見ると驚いたように目を丸めた。
「会長、ごくろうさまでやす!!」
「うむ。ご苦労。ちょっと入らせてもらうぞ?」
「はいっ!どうぞ、どうぞ!!」
チンピラは敬礼の姿勢を取って、恭しく頭を下げた。
ちらりと後方の塀を見るが、2メートル以上ありそうだ。しかも塀の上は鉄線が張り巡らせてある。
飛び越えるのは…無理そうだ。
車は敷地内をゆるやかに走っている。
中央のアスファルトの道路の両脇に砂紋を描いた砂利が敷いてあった。所々に飛び石が置いてある。
道路の突き当たりが―――青龍会本部の建物。立派な日本家屋で、ちょっとした城のような外観だ。
どっしりとした土壁。白いしっくいが太陽の光りに反射して眩しい。
建物の両脇が駐車場になっていて、幹部会なんか開かれると、この駐車場はいっぱいになる。
叔父貴は向かって右側の駐車場に車を停め、あたしたちは降り立った。
入り口の立派な茶色の重々しい扉の前にも一人、チンピラが仁王立ちになっていたが、あたしたちを見るとすぐに、ぴしりと敬礼をした。
「ご苦労様でやす!!どうぞ、中へ」
そう言ってチンピラが扉に手を掛けた。
チンピラをちらりと見ると、耳にイヤホンが装着してあり、それで無線を飛ばし詰め所との連絡を行き来させてるわけだ。
チンピラはどこかの組の中堅どころ、というところだ。下っ端じゃないけれど、それほど上でもない。
なるほど…セキュリティはしっかりしてそうだけど、倒せなさそうな相手じゃないな。
チンピラを横目で見ていると、
ギイィと重々しい、年代を思わせる音がして、扉が開き、あたしはごくりと生唾を飲み込んだ。