。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
墓参りなんてこれがはじめてじゃないけれど、今以上に緊張したことなんてきっとなかっただろうな……
叔父貴はジーンズのポケットから小さな金色の鍵を取り出し、その双龍の丁度真ん中辺りにある鍵穴に鍵を差し込んだ。
この鍵がないと―――この扉は開くことができない。
本部に忍び込んでも、この鍵がなければ意味がない。
だけどテレビとかで見る指紋照合や声紋照合なんて厄介なものはないから、何とかなりそうだ。
カチリと鍵が開く音がして、叔父貴はゆっくりと両開きの扉を開いた。
ひやりとした墓場独特の空気が漂ってきて、あたしは思わず身震いをした。
まっすぐに続いた小路は大小の石畳。空は青い色で、太陽光がわずかに石畳に反射している。
所々に浮かぶように設置されてる石の灯篭はもちろん明かりは灯していない。
桜の木々も、もちろん夏仕様の青々とした葉っぱを身に纏っている。
夢で見た幻想的な光景―――ではなく、
墓場と呼ぶに相応しい、重々しい雰囲気だった。