。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
“これ”があの変態医者!?
あたしはドクターをまじまじと見た。だってかなりのイケメン…だよ??
ドクターは「フフッ」と笑うと、スチャッ!とどこからかメガネを取り出した。
「この方が分かりやすいですかね。フフッ」
ドクターだ!!
喋り方も笑い方も、メガネをはめると本当にドクターだった!
って、妙なところで感心してる場合じゃねぇ!
「おいっ!こっちに女が来ただろ!?」
あたしはドクターの襟首を掴んで、勢い込んだ。
「女?いいえ。誰も来てませんが」
メガネを外しながら、ドクターは薄く笑う。
「嘘だ!叔父貴とグルになって何か隠してるだろ!?」
あたしが怒鳴ると、ドクターはさも心外だと言わんばかりに腕を組んだ。
「グル?私はたった今来たばかりですよ?それに、弟と違ってグルになるほど会長とは親しくさせてもらっていませんので。
歳若いあなたや白虎の彼らには、色々調べたいことがあって興味がありますがね。会長は私の興味がそそられません」
ズバリ!と言い切られて、あたしは違う意味でぞぞっときた。
叔父貴相手にここまで言い切るのはある意味命知らずだな。
「こっちだってお断りだ。お前の変な研究のために体が切り刻まれてたまるか」
と叔父貴もドクターを睨んでいる。
何か…変な雲行き……
「ま、まぁまぁ。二人とも喧嘩するなよなっ(焦っ)」
二人を宥めているうちに…やっぱり女のことはうやむやになっちまった。
でも……
掌を開けると、確かに赤い数珠の珠が握られている。
血の様に赤い色だと思っていた珠は、空中にかざすときれいな―――朱色だった。
だけど嫌な予感がする。
あの女が纏っていた白い着物が―――
あたしにはまるで死装束のように思えたんだ―――