。・*・。。*・Cherry Blossom Ⅱ・*・。。*・。
『……朔羅……俺はお前のことがずっと好きだった―――』
『雪斗っ!やめっ…!!』
あいつはあたしの全てを奪った。
あたしの初めて。あたしの信じていた気持ち。あたしの未来。
許せなかった。
憎かった。
だからこの手で殺すことを決めた。
包丁を奴に突き立てる直前、雪斗は一瞬泣き出しそうに瞳を揺らしていた
『お前―――やっと笑った。やっと笑ってくれた』
思えば雪斗は本当にあたしを愛してくれてたんだと思う。
ただ愛情の伝え方が人と違っただけ。
『ばいばい、雪斗』
あたしが包丁を雪斗に突き刺すのと同時に、雪斗の背後に迫った叔父貴がうちに代々伝わる家宝の日本刀“雨龍(ウリュウ)を振りかざした。
ドスッ!
二つの音が一つになって、包丁と雨龍が雪斗の体を貫いた。
『………な……に!…たく…ま?』
唇の端から一筋の血を流しながら、雪斗が叔父貴を振り返る。
『朔羅!!大丈夫か!!?』
『……叔父貴…何で?』
『朔羅……すまない。お前の様子が変だとは前々から思ってたけど、まさかこんなことになっていたとは…』
包丁を腹に、日本刀を胸に突き刺さした雪斗は
血だらけの震える手であたしの方に手を伸ばしてきた。
『さく………ら……俺の……』
事切れる前、雪斗は小さく笑った。
あのときの笑顔は一生忘れることができないだろう。